感覚の敏感期にいる子どもを対象とした分野が『感覚教育』です。
人間には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五感があり、その受容器として目・耳・鼻・舌・皮膚という感覚器官が存在します。

『日常生活の練習』という分野で運動のメカニズムについて説明しましたが、私達が動くために、外的刺激を認識する感覚器官は必要不可欠です。

子どもは五感が敏感です。大人が気付かないような小さな音に気付いたり、微かな匂いや味も感じ取ります。3歳前後までは、五感で感じ取った感覚は言葉には表せず、無意識下でなんとなく印象にしか残っていません。

しかしながら3歳以降では、今まで貯めてきた感覚的印象には呼び方があり、比較や分類できたりすることが分かってきます。このように無意識下での情報を整理し、知性の萌芽を応援する活動が感覚教育です。

モンテッソーリの感覚教育には特別な教具があり、感覚器官の1つひとつを別に刺激できるように作られています。そのため感覚的印象が混乱せず、情報を整理しやすくなっています。

視覚(目)円柱さし(大/小) ピンクタワー(大/小) 茶色い階段(太/細) 長さの棒(長/短) 等
触覚(手・皮膚)触覚板(粗/滑) 温覚筒(温/冷) 重量板(重/軽) 実態認識袋(形の違い)等
聴覚(耳)雑音筒(強/弱) 音感ベル(高/低)等
味覚(舌)味覚びん(塩味/甘味/酸味)等
嗅覚(鼻)嗅覚筒(香りの違い)等
感覚教具と識別する印象

感覚教具を扱うことで、感覚器官を洗練させるだけでなく、情報を整理したり、違いを考えたりする力を身に着けることができます。